敬老の日に読みたい。孫とおばあちゃんの感動エピソード。

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今回は一本のクラリネットがきっかけになった、孫とおばあちゃんとの素敵なエピソードをご紹介したいと思います。

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私は中学時代、吹奏楽部でクラリネットを担当していました。

中学最後の夏の大会に向けて練習に励むある日、突然父の転勤が決定。引越しを余儀なくされました。

中学校生活3年間を吹奏楽部にかけていた私は、せめて大会が終わるまではここに残りたい、
そう両親に訴えましたが、高校受験のためにも早めに引越しが必要だということで、転校が決まりました。

「最後の大会だから悔いを残さず全力で頑張ろう」

そう思ってずっと頑張ってきたのに、私は目標を一気に失ってしまいました。

当時私たちは祖母と同居をしていましたが、今回の引越しで祖母は残り、私たち家族だけが引っ越すことになりました。

夏休みには、いつも畑の新鮮な野菜やスイカを食べさせてくれた祖母。
幼い頃には、近くのプールや海にもよく一緒に行ったものです。
祖母は、私のことを本当にかわいがってくれました。

本当は一人になってさみしいはずなのに、大会に出られないことで落ち込み、ふてくされている私に対して、ずっと明るく接してくれていました。

引越しの前日、祖母は
「クラリネットを聴かせてくれない?あの音色、凄く好きなのよ。」
と私のクラリネットを持ってきました。
このクラリネットは、私が音楽をはじめたときに祖母からもらったものでした。

「クラリネットなんてもうやりたくない!」

私は大会に出られなかった苛立ちから祖母に向かってそう怒鳴り、クラリネットを床に投げつけてしまいました。
その時の祖母の寂しそうな表情は、今でも忘れられません。
結局そのまま祖母とはほとんど会話をせずに、私は引っ越してしまいました。

引っ越してからの新しい生活はつまらず、次第に私の心は荒れていきます。
高校には入ったものの、1年生の夏休みには私は家に帰らず、友達の家を渡り歩くようになりました。

そんなある日、祖母が倒れたという知らせが入りました。
私は気まずさを抱えながらも、父母に連れ出され病院へ向かいました。

「あの時はごめんなさい。」

病院へ向かう途中は申し訳ない気持ちと謝りたい気持ちでいっぱいでした。

病院に着くと、祖母の容態は落ち着いていて、今日は大丈夫だということで、久々に昔住んでいた家に帰ることになりました。

祖母との懐かしい思い出やあの日の事がよみがえりました。
祖母の着替えを用意するために、祖母の部屋に入りました。
するとなんと、あの時のクラリネットがクロスと一緒に落ちていました。

祖母はあの時のクラリネットを私が取りに来るまでずっと磨いてくれていたのです。
きっと倒れたその時も…。

それがわかった瞬間、いてもたってもいられなくなり、すぐ病院に戻りました。

「おばあちゃん、本当にごめん。」

眠っているおばちゃんに泣きながら謝りました。そして私はそのまま眠ってしまいました。
次の日、起きると祖母は私の手を握ってくれていました。病人は祖母なのに(笑)。
そして、今まで話せなかったことをたくさん話しました。

その後、祖母は順調に回復し、私たち家族は自宅に帰ることになりました。
もちろん、私はクラリネットを持って…。

私は今、大学に進学し吹奏楽部に所属しています。もうすぐ演奏会です。
招待した祖母はものすごく楽しみしてくれています。

これからも長生きして、私の演奏をずっと聴いていてね、おばあちゃん。

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