初めての母娘旅行と小さなプレゼント

母との旅行

母の日のプレゼントのちょっとしたハプニングが

母と娘の絆をより深めるきっかけとなりました。

そんな素敵なエピソードをお客様からいただいたので、ご紹介したいと思います。

さわやかな春の小淵沢へ、初の母娘旅行

昔から優しかった母との思い出。

とりわけ印象深く残っているのが、

私が母の日にプレゼントした、初めての母娘ふたり旅でした。

ある年の母の日、

私はお気に入りの絵本作家、東君平さんの美術館に行くことを思い立ち、

母を旅行に誘ってみることにしました。

美術館がある小淵沢は八ヶ岳南麓にある高原の町。

自然豊かで、美術館が多く、雰囲気も良くて素敵な場所。

ぜひ母の日のプレゼントにと思い旅行に誘ったら、喜んで

「行く!」

との返事をもらいました。

小淵沢への小旅行は、大人になって初めての母娘ふたり旅でした。

母も美術鑑賞が好きなので、

私たちは小淵沢で美術館めぐりをすることにしました。

童話作家・東君平さんの絵本原画が展示されている 「くんぺい童話館」では、

童心に返って絵本を読んだり、

ヨーロッパ絵画を中心に展示している「フィリア美術館」では、

パイプオルガンの自動演奏を聴きながら、外のベンチで居眠りをしたり…。

楽しく美術館をはしごしているうちに、

いつの間にか日が暮れて、周囲は暗くなっていました。

ここでちょっとしたハプニングが。

私たちは荷物を置いた駅への戻り方が分からず、

道に迷ってしまったのです。

周りは人通りがなく、建物や看板も見当たらないので、

かなり駅から遠い場所にいる様子。

肌寒い小渕沢の夜。

お腹も空いて、不安になってウロウロする二人。

その時、私は後で食べようと思っていた

小さなパンを持っていることを思い出しました。

ランチで食べたパンが美味しかったので買ったのですが、

母の分はいらないということで一つだけ。

母にパンを差し出して、

「お腹空いたでしょ?このパン食べて。」

と言うと、母は優しく、

「平気だから食べていいよ。お腹空いてるでしょ?」

と言って、受け取ってくれません。

「子供の頃、お母さんいつも私に譲ってくれてたじゃない?

母の日ぐらいお母さんが食べて。」

こんな時でも優しい母に、

なんとか食べて貰いたくてパンを手渡しました。

「ありがとう。じゃあ、半分こにするね。」

と母は言いながら、小さなパンを更に小さくちぎって、

半分ずつに分け合って食べました。

分け合ったパンは、あまりお腹の足しにもなりませんでしたが、

何だか少し元気がでて、

私たちは真っ暗な道を開けた方向に向かって歩き始めました。

すると、運よく明かりのついた一軒の家を見つけました。

その家の方に駅へ向かう道を聞いてみると、

その方は親切にも車で駅まで送ってくださったのでした。

車の中で、母に

「何か大変な母の日になってごめんね。」

と、謝ると、

「ううん、母の日のプレゼント嬉しかったよ。」

と、笑顔で答えてくれました。

このことをきっかけに、私は母と一緒に旅行する機会が多くなりました。

小淵沢の地名を聞くと、

「前に行ったね」

と母は楽しそうにあの時の話をしてくれます。

大切な思い出として心の中にしまっておいてくれていると思うと

うれしくなります。

心癒される時間。

笑顔になれる時間。

ともに過ごした幸せを、心おきなく語り合えるのも

親子の旅ならではだと思います。

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